「最近、抜け毛が増えてきた気がする」「髪の毛が細く、元気がない」とお悩みの女性の方は、一度亜鉛不足を疑ってみましょう。
亜鉛は、健康な髪の毛を作るために必要な栄養素で、不足すると抜け毛や薄毛の原因となり得ます。
今回は、亜鉛と抜け毛の関係や適切な摂取量、亜鉛を豊富に含む食材などをご紹介します。
目次
亜鉛不足は抜け毛を引き起こす?
亜鉛は、髪の毛の生成に関係する栄養素のため、不足すると抜け毛を引き起こすおそれがあります。
亜鉛は体内で作り出すことができないため、不足しやすい栄養素であるといえます。
髪の毛に対する亜鉛のはたらき
さて、亜鉛は髪の毛の生成に関わると説明しましたが、ここでは髪の毛に対する亜鉛のはたらきについて詳しく解説します。
髪の毛の主成分「ケラチン」を合成する
髪の毛の主成分は、ケラチンというタンパク質の一種です。
亜鉛には、ケラチンを合成するはたらきがあります。
食事などから摂取したタンパク質は、一度分解されてアミノ酸となり、再結合してケラチンが生成されます。この再結合の際に、亜鉛が必要となります。
発毛サイクルを正常に保つ
亜鉛には発毛サイクルを正常に保ち、健康な髪の毛を維持するはたらきがあるといわれています。
髪の毛は、髪が伸びる「成長期」、成長が止まる「退行期」「休止期」という発毛サイクルを繰り返しています。
発毛サイクルが乱れると、髪の毛が成長しきる前に抜け落ちてしまい、抜け毛や薄毛が目立つ原因となります。
AGAの原因を抑制する
AGA(男性型脱毛)の原因として、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが挙げられます。
「男性ホルモンなら女性の薄毛とは関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、女性でもAGAと同じメカニズムで薄毛が引き起こされる場合があります。
AGAは、男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼ酵素が結合し、DHTに変化することで発症します。
亜鉛は5αリダクターゼ酵素を抑制して、DHTの生成を防ぐといわれているため、AGAの抑制効果が期待できます。
亜鉛の適切な摂取量
米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会が設定した食事摂取基準によると、19歳以上の亜鉛の推奨摂取量は、男性で11mg、女性で8mgです。
参考までに、亜鉛が豊富な牡蠣の含有量は5粒(60g)で7.9mgです。
食事から摂ることが望ましいものの、上記の量をすべて食事から摂取するのはなかなか大変です。そのため、サプリメントを併用してもよいでしょう。
なお、年齢別の亜鉛の推奨摂取量は次のとおりです。
亜鉛の推奨栄養所要量
年齢 | 男性 | 女性 | 妊婦 | 授乳婦 |
生後0~6ヵ月 | 2 mg* | 2 mg* | ||
7~12ヵ月 | 3 mg | 3 mg | ||
1~3歳 | 3 mg | 3 mg | ||
4~8歳 | 5 mg | 5 mg | ||
9~13歳 | 8 mg | 8 mg | ||
14~18歳 | 11 mg | 9 mg | 12 mg | 13 mg |
19歳以上 | 11 mg | 8 mg | 11 mg | 12 mg |
*適正摂取量(AI)
引用:表1:亜鉛の推奨栄養所要量(RDA), 厚生労働省eJIM | 亜鉛[サプリメント・ビタミン・ミネラル]
亜鉛が豊富な食材
前段で亜鉛の適切な摂取量をご紹介しましたが、具体的にどのような食材をどれくらい摂取すればよいのでしょうか。
ここでは、亜鉛が豊富な食材とその含有量をご紹介します。
食材 | 質量 | 亜鉛含有量(mg) |
牡蠣 | 60g(5粒) | 7.9 |
牛肩肉 | 84g | 7.0 |
煮干し | 100g | 7.2 |
豚レバー | 100g | 6.9 |
卵黄 | 100g | 4.2 |
カシューナッツ | 28g | 1.6 |
納豆 | 40g | 0.8 |
プロセスチーズ | 20g | 0.6 |
参照元:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』
なお、亜鉛は加熱しても含有量が変わることはありません。
亜鉛を摂取する際のポイント
抜け毛・薄毛の改善のために亜鉛を摂取する際は、次の点に気をつけてください。
一緒に摂取すると効果的な栄養素
- タンパク質
亜鉛と一緒に、魚類や肉類、卵など、良質なタンパク源となる食材も摂取することをおすすめします。
先述したとおり、亜鉛は髪の材料となるタンパク質に働きかけてケラチンを生成し、健康な髪の毛を作り出します。つまり亜鉛だけ摂取しても、材料となるタンパク質がなければ髪の毛を作れないということです。
- ビタミンC
ゴールドキウイやパプリカなど、ビタミンCを豊富に含む食材の摂取もおすすめです。
亜鉛は吸収率の低い栄養素ですが、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率を30%高められるといわれています。
さらに、ビタミンCにはコラーゲンの生成を助け、髪にハリやこしを与えるはたらきがあります。
なお、抜け毛・薄毛改善のためには、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
特定の栄養素ばかりに偏らないよう、さまざまな栄養をバランスよく取り入れるようにしましょう。
>>女性の薄毛改善に効果的な食べ物は?髪によい栄養素を紹介!
過剰摂取に注意する
特定の栄養素を過剰に摂取すると、身体に悪影響を与えるおそれがあります。
亜鉛の過剰摂取によって、髪に必要な栄養素への供給が阻害され、かえって抜け毛が増える恐れがあります。
また、下痢や貧血などの体調不良を引き起こす原因となり得ます。
亜鉛を摂取するときは、上限量を超えず適切な量にとどめるように注意してください。
米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会では、亜鉛の上限摂取量を次のように定めています。
亜鉛の許容上限摂取量
年齢 | 男性 | 女性 | 妊婦 | 授乳婦 |
生後0~6ヵ月 | 4 mg | 4 mg | ||
7~12ヵ月 | 5 mg | 5 mg | ||
1~3歳 | 7 mg | 7 mg | ||
4~8歳 | 12 mg | 12 mg | ||
9~13歳 | 23 mg | 23 mg | ||
14~18歳 | 34 mg | 34 mg | 34 mg | 34 mg |
19歳以上 | 40 mg | 40 mg | 40 mg | 40 mg |
引用:表3:亜鉛の許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Level:UL), 厚生労働省eJIM | 亜鉛[サプリメント・ビタミン・ミネラル]
特に、サプリメントでは亜鉛の含有量が20mg近くになるものもあります。
サプリメントを服用するときは、用法用量を守って、許容上限摂取量を超えないよう十分注意してください。
抜け毛の原因は亜鉛不足だけじゃない?女性の薄毛FAGA
ここまで、亜鉛不足は女性の抜け毛や薄毛を引き起こすということを解説してきました。
女性の抜け毛・薄毛の原因は亜鉛不足以外にもあり、代表的なものとしてFAGA(女性型脱毛症)が挙げられます。
FAGAは主に女性ホルモンの減少によって起こり、更年期前後の女性によく見られる脱毛症です。
しかし、その原因はさまざまなため、年齢を問わず発症する可能性があります。
FAGAの改善で大切なことは、早期に原因を突き止め、適切な治療を受けることです。
自己判断で市販の育毛剤などによるセルフケアをおこなっても、あまり大きな改善効果は期待できないといってよいでしょう。
短期間で確実に改善効果を得るなら、湘南美容クリニックでのFAGA治療がおすすめです。
専門医が原因を特定し、最善の治療法をご提案します。
服薬やメソセラピー(頭皮への投薬)、毛根再生注射、植毛など、症状の進行度やご希望に合わせてさまざまな治療法をご用意しています。
抜け毛・薄毛が気になる女性の方は、ぜひ一度湘南美容クリニックの無料カウンセリングへお越しください。
まとめ
亜鉛は髪の毛の主成分「ケラチン」の合成に必要なものの、不足しやすい栄養素です。亜鉛不足は、抜け毛・薄毛を引き起こす原因になります。
亜鉛の豊富な食材を意識して取り入れ、場合によってはサプリメントで補うことで、亜鉛不足を解消しましょう。その際、髪の毛の材料となるタンパク質の摂取も忘れずに。
女性の抜け毛・薄毛は、FAGAという女性特有の脱毛症によっても引き起こされます。
食生活を見直しても抜け毛・薄毛が改善されない場合は、専門クリニックへ行き、専門医の診察を受けてみてはいかがでしょうか。