ワキガは「腋臭症」と呼ばれ、汗が原因で脇の下からツンとするニオイを発する症状です。ニオイを気にしている人にとっては切実な悩みでしょう。巷では医療脱毛にはワキガを改善する効果があるという噂があったり、逆にワキガを悪化させるという噂があったり・・・。医療脱毛とワキガの関係を見ていきましょう。
脇脱毛とワキガの関係
脇脱毛はワキガの治療に効果があるといった噂を耳にしたことがある人も多いかもしれません。その逆に脇脱毛をするとワキガになるとか、脇汗が酷くなるといった噂もあります。結論を言ってしまえば、これらの情報はあくまで噂で科学的な根拠はありません。しかし、脇脱毛をすることでワキガに対して一定の改善効果があることは確かです。その理由を理解するには、まずワキガの原因を知る必要があります。
ワキガの原因とは
ワキガは汗が原因で脇の下から独特なニオイが発生する状態のことです。人間は皮膚に汗をかくための汗腺を持っています。人間の汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類が存在します。このうちワキガの原因となるのはアポクリン汗腺です。エクリン汗腺は全身に存在し、運動した時やおフロに入った時などにサラサラした汗をかくのに対し、アポクリン汗腺は脇や乳輪、耳の穴、陰部などに存在し、たんぱく質や資質を含んだ粘性のある汗を分泌します。エクリン腺の汗と混ざり、それが脇に存在する常駐菌によって分解されることでツンと刺激のあるニオイを発します。アポクリン汗腺は人によって大きさや数が異なります。アポクリン汗腺が大きく、数が多い人はワキガになりやすい傾向が見られます。
脇脱毛でワキガは改善する?
脇脱毛によってワキガが治ることはありません。脇脱毛によってワキガが治ると勘違いされていることがありますが、ワキガの原因であるアポクリン汗腺は脇の毛穴の中にあり、脇毛が濃いほどワキガになる傾向が強いため、そういった勘違いをする方が多いのだと考えられます。脇の医療脱毛では、脱毛するために毛根周辺の細胞を破壊しますが、アポクリン線は毛包のさらに奥にあるため、レーザー脱毛で破壊はできません。しかし、脇脱毛をすることで間接的にワキガのニオイを抑えることはあります。
脇脱毛でワキガが改善したケース
前項でもお伝えした通り、脇脱毛でワキガが治ることはありません。ですが、脇脱毛をしたことでワキガのニオイが改善されるなど、間接的な効果は期待できます。ワキガのニオイの原因は汗が細菌によって分解されることで発生します。脇毛がなくなることで雑菌が付着しにくくなることや、脇が蒸れにくくなることでニオイの減少に繋がります。また、医療脱毛でアポクリン汗腺が破壊されることはありませんが、脱毛時の熱によって一定程度アポクリン汗腺の発汗機能を抑える効果があるのではないかと言われています。
脇脱毛でワキガが悪化したケース
稀に脇脱毛によってワキガが悪化するケースもあります。脇脱毛が直接ワキガに作用することはありません。それにもかかわらず脇脱毛を受けたことでワキガが悪化したといった声が挙がることがあります。本来、脇脱毛を行うと脇が清潔になることでニオイが発生しにくい状態になります。脇脱毛を受けてニオイがきつくなる原因として考えられるのは、脱毛によって脇の毛穴が開いてその部分に皮脂や垢が詰まり、それが酸化することでニオイが発生しているケースです。医療脱毛を行うことで通常は毛穴が引き締まりますが、何らかの理由により毛穴が開いた状態になることがあります。こまめに脇を清潔にすることでニオイを改善することが可能ですが、症状が続くようであれば皮膚科に相談することをおすすめします。
脇脱毛と脇汗の関係
脇脱毛によって脇汗が増えるのではないかと心配する人もいます。結論から言って、脇脱毛によって脇汗が増えることはありません。人間が汗をかくのは肌に汗腺が存在しているからですが、医療脱毛によって汗腺の細胞が破壊されることはありません。そのため、脇脱毛によって脇汗の量が変わるという医学的根拠はありません。ですが、なかには脇汗が改善する場合もあれば、脇汗が増えたという意見もあります。脇脱毛によって脇汗が影響を受けたケースを見てみましょう。
脇脱毛で脇汗が改善したケース
脇脱毛をしたことで脇汗が減ったという声も有ります。医療脱毛はレーザーの熱によって毛包周辺の細胞を破壊することで脱毛を行います。汗を出す汗腺であるアポクリン腺は毛包の近くに存在しているため、少なからず脱毛レーザーの影響を受ける可能性はあります。レーザーの熱によってアポクリン腺の働きが弱まることで汗の量が減少した可能性が考えられます。
脇で脇汗が悪化したケース
脇脱毛によって脇汗が減少したとの意見がある一方で、脇脱毛を受けたことで脇汗の量が増えたという意見も見受けられます。脇脱毛を受けたことで脇汗が増えたと感じる理由は、脇の毛がなくなることで汗をダイレクトに感じるからです。脱毛後の毛穴は汗を貯めておくことができません。今まで脇毛に吸収されていた汗が流れることで汗の量が増えたと錯覚します。
単なる勘違いである場合が多いですが、実際に脇脱毛後に汗の量が増えるケースもあります。「脱毛後多汗症」と言って、脱毛によって毛穴の中の汗腺が刺激され汗の量が増加する症状です。脱毛後多汗症のほとんどは一過性で、時間の経過とともに落ち着くためそれほど心配する必要はありません。
ワキガ治療の内容
脇脱毛にはワキガを治す効果はありません。ワキガを解決したいならワキガ治療を受けるという選択肢もあります。ワキガ治療には様々な方法があります。ワキガの原因を取り除く手術や、一時的にワキガのニオイを抑えるボトックス注射、電磁波を照射して細胞を破壊するミラドライなどです。このうち保険が適用されるのは一部の手術だけで、保険適用外のものはいずれも高額な治療費が必要です。
保険適用の手術の中で最もスタンダードなものが剪除法(せんじょほう)と呼ばれる術式です。ワキガの原因であるアポクリン汗腺を切除する根治法です。ニオイの元を断つため、効果が高い手術方法ですが、傷跡が残りやすいなどのリスクもあります。
ワキガ手術の流れ
剪除法でのワキガ手術の流れを見ていきましょう
- 手術範囲をマーキングする
切開線や手術範囲をマーキングしていきます。
- 局部麻酔を施す
脇下に局部麻酔を施し、効果が出るのを待ちます。
- 脇下をシワに沿って切開する
脇下のシワ部分を4~5センチ切開します。切開部の皮膚を裏返してアポクリン汗腺を露出させます。
- アポクリン汗腺を除去する
目視で確認しながら外科手術道具でアポクリン汗腺を丁寧に切除していきます。
- 切開部分を縫合
切開部分を縫合していきます。
- 創部を固定する
一度はがした皮膚が浮いたりずれたりしないように、創部にスポンジを当て包帯で固定します。1週間~2週間このまま固定します。
- 手術後の抜糸
7~10日目に、再度来院して全て縫合部の抜糸を行います。
ワキガ手術の費用
ワキガ手術は剪除法(保険適用)の手術を行った場合、両脇で4万円ほどです。手術費用以外に診察料や薬代などが数千円掛かります。
保険外の皮下組織吸引法や治療法を行なった場合は治療費が高額になります。
剪除法(保険適用) | 約4万円 |
皮下組織吸引法(保険適用外) | 30~50万円 |
ボトックス注射(保険適用外) | 20~40万円 |
まとめ
ワキガの原因とは
ワキガのニオイは、脇の毛穴にあるアポクリン汗腺から出る汗が脇の常駐菌に分解されることで発生します。アポクリン汗腺が多い人はワキガになりやすい傾向があります。
脇脱毛でワキガ自体が治ることはない
脇脱毛ではワキガの原因である汗腺を破壊できません。ワキガを根本から治療することはできませんが、脇毛がなくなることで間接的に症状を抑えることができます。
脇脱毛でワキガが改善することはある
間接的な効果でニオイが改善することがあります。脇が清潔になることや、脇毛がなくなり雑菌が付着しづらくなることで、嫌なニオイを抑える効果があると考えられます。
医療脱毛でワキガが悪化することもある
極まれに、医療脱毛でワキガが悪化するケースがあります。ワキガが悪化する理由は、脇毛がなくなった毛穴が何らかの理由で開いた状態になり、皮脂やアカが詰まることが原因でニオイが発生するからです。こまめに清潔にすることでニオイを改善できます。状態が改善しない場合は皮膚科に相談することをおすすめします。